25.物件を横取りされるケース

価格交渉・契約締結

 「物件が取られる」という定義自体が難しいですが、1番手の買付書が通っていて購入意思や購入資金があるにも関わらず、他の人に購入されてしまったケースを「物件が取られた」とここでは表現しています。皆さんも1度くらいは経験されているのではないでしょうか。今回は過去に私が経験した横取りケースを挙げるとともに、それを回避する方法も記載しました。100%の回避は難しいものの、お役に立てるのではないかと思います。

物件が取られるケース

 横取りされる物件というと、大抵は区分の物件だと思います。一棟物件はボロでなければ木造でも5,000万、RCなら1億以上しますし、金融機関も審査を手抜きして簡単にホイホイ出せる額ではないので、所謂「蒸発」といったスピードで取られることは少ないのではないでしょうか。東京は別として、大阪、名古屋、博多であれば区分ワンルームは1,000~1,500万程度で築浅が買えますし、20年を超えてくると1,000万を割るので、現金即決ということもあり得る訳です。

 まず物件売買において、形態は以下の3通りしかありません。
  (1).売主ー仲介業者(売主側)ー仲介業者(買主側)ー買主
  (2).売主ー仲介業者(両手)ー買主
  (3).業者(売主)ー買主

 以下、4パターンの横取りケースを書きましたが、全て売買契約書に押印するまでの間に発生します。(当たり前と言えば当たり前ですが)

 横取りケース①(売主側仲介業者からの切り捨て)
 取引形態(1)のケースはよく横取りされます。24.物件を安く購入するためにはにも書きましたが、安い物件は誰もが欲しいため、当然ながら売主側仲介業者は両手取引しようとします。そのため、あなたが1番手で買付を入れていても、自社で買い手を見つけることが出来れば、売主側仲介業者は容赦なくあなたを切り捨てて取引形態(2)のケースで取引します。私の経験としては「実は指値で先に買付が入ってて満額が提示されたので」とか「提示価格より高い買付が入ったのでそちらになった」と嘘くさい理由で断られることが多かったですね。(笑 悔しいケースです。
 
 横取りケース②(他者の高額買付)
 取引形態(2)のケースでは横取りはないのか?というのと売主が専任媒介を依頼していないのであれば、②でも横取りは発生する可能性はあり得ます。一般媒介で他の仲介業者へも依頼している状態で、こちらが指値で買付を出していると、他の仲介業者の買主からあなたよりも高い金額で買付が入って取れるケースが考えられます。この②のケースの場合の横取りは、あなたの依頼している仲介業者にはデメリットしかないので、本当の意味で競り負けたということになります。気持ちよく諦めがつくパターンでもあります。

 横取りケース③(現金ニコニコ払い)
 取引形態(2)で専任媒介の場合でも横取りは発生します。2番手が現金買いのときです。あなたが融資希望の場合、売買契約には融資特約を付けることになりますので、融資が通らないと仲介業者は別の買い手を探す必要があります。そんな手間を掛けるなら「現金買いの2番手に売ればいいじゃん」ということで2番手に売るケースは結構あります。また、売主の返済や差し押さえの都合で現金優先にしている場合も当然あるので、そういった事情で現金が優先されることは多々あります。融資の確度が高いときは買付提出順位を優先する業者も多く、融資買付は決済日が遅くなる=家賃が1~2ヶ月余分に貰えるので売主有利ということもあり、私が売るときは現金買いを優先することはないですね。(というか、そもそも買付が殺到するような金額では売りませんし、現金買いが来るということは安過ぎなのですw)

 横取りケース④(管理会社の後出し買付)
 取引形態(2)、(3)を含め、どのケースでも発生しうる最悪の横取りケースとなります。誰が横取りするのかというとマンション管理会社です。取引形態(3)で本当に業者名義の物件であれば発生しませんが、大抵は中間省略のケースだと思いますので、この横取りは警戒する必要があります。

 横取りされるメカニズムは以下の通り
 1.仲介業者が売り出す時点では、マンションの修繕積立金や滞納情報は未調査
 2.買付が入り、いざ売買となった時点で仲介業者が管理会社へ修繕積立金等の情報を確認
  (管理会社が自社の管理マンションの1室が売りに出ていることを知る)
 3.管理会社は当然売主の連絡先を知っているので、連絡して売値を聞き出す
 4.売値が激安の場合で売買契約書に押印していない状態であれば、金額上乗せ買取を提案する
 5.売主が仲介業者へ今の買主へは売らないと言い出す

 過去に私は、売買契約書が完成して仲介業者が売主へ送付しているタイミングでこれをやられ、売主が管理会社へ売ると言いだして破談となった経験があります。
 この事件があってからは、この横取りした大手デベST社の物件に買付を入れるときは警戒するようになりました。

物件を取られないよう回避する方法

 大前提として、売買契約書に売主と買主が判子を押印すれば決まってしまうため、横取りを回避するためには最速で契約書に押印することが肝心なことは言うまでもありません。
 とはいえ、重要事項説明書もろくに読まずに押印するのは止めましょう

 横取りケース①
 これは両手取引業者を探して買付を入れるようにすれば、上記のような横取りは回避できます。そのため買う側としては、複数業者が同じ物件に広告を出していれば、レインズに載っていると判断して、楽待ち等の投資向けサイトだけでなく、スーモやアットホームなどの一般向けサイトも検索し、物件名と部屋番号単独でも検索して確認してみましょう。大手の業者がヒットすれば、そこが両手業者の確率が高いです。
 また、直接業者に問合せして両手ですか?単刀直入に聞いてもいいかもしれません。渋るようなら両手ではありません。また、「なんでそんなこと聞くの?」みたいなことを言われても、「マンション全体の修繕積立金が知りたいのですが、すぐに確認できますか?」と切り返せば、それ以上は疑問に思わないと思います。

 横取りケース②
 満額で買付を出す以外、このケースは回避しようがありません。最速で買付書を出して、即日銀行へ駆け込むor業者斡旋融資であれば、速やかに必要書類を提出して後は神に祈りましょう。

 横取りケース③
 仲介業者へ事前に確認しておきましょう。ケースバイケースですが、こちらの購入意思が強いことを伝えて、こちらを優先して貰えるよう交渉しておくことで2番手以降の現金購入者をブロックしてくれることもあります。もちろん売主の事情次第では無理ですので、そこは潔く諦めましょう。

 横取りケース④
 私はST社の物件を購入するときには、仲介業者に管理会社へ売買について連絡したかを確認しています。大抵は確認していないと思うので、横取り④の過去事例を伝えた上で、売買契約書と重要事項説明書の修繕積立金の金額欄以外を完成させてから管理会社へ連絡するようお願いしています。
 マンションを購入するときに、修繕積立金や滞納情報は重要ですが、がめついST社物件に限っては修繕積立金は潤沢なのでその点での心配はないのです。とはいえ、初めて購入する段階ではこの回避は難しいと思うので、ある意味運が悪かったと諦めるしかないのかもしれません。


 さて、今回の横取り事例の紹介はいかがだったでしょうか。まだまだ不動産で経験したことを書いて残していきたいと思いますので、次回以降も気長にお待ち下さいませw

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