26.不動産譲渡益の節税方法

節税方法

 禁断とも言える不動産譲渡益を節税(?)する方法を書きたいと思います。ここの内容は推奨される行為ではありませんし、あくまで皆様の知識欲を満たす&私の忘備録の目的で書いていますので、そこは悪しからず。。。

譲渡益のおさらい

 不動産の譲渡益に関しては、アメリカには「1031エクスチェンジ」という素晴らしい制度がありますが、日本にはありません。この1031エクスチェンジという制度は、物件を売却したときに譲渡益が発生しても、その売却した物件価格以上の物件を売却後3ヶ月以内に購入すれば、譲渡益を先延ばしに出来る制度です。しかも所有者が死亡し、相続するときには相続人は譲渡益に対する税金は取られないというからアメリカにおける不動産投資は富裕層には必須のツールとなっています。
 日本では国税庁の土地や建物をうったときに記載の通り、マイホームの特別控除制度等はあるものの、短期譲渡所得39%、長期譲渡所得20%の税金(法人は一律30%)が取られます。20%~30%なので株や給与所得と比べると特別高い訳ではありませんが、それでもばかになりません。特に田舎の中古1棟木造を5年償却して利益確定のために売却するときは、税務上では建物価格0で「売値ー土地値」の差額が譲渡益となるので、数年間の生活費が捻出されることもあり得ます。この譲渡益を減らす方法は次項の通りです。

節税方法

 譲渡益を減らすこのスキームにたった1つだけ必要な事があります。それが以下です。あなた単独では実行できません。
  ・親族経営や資本関係が全くない第三者の信頼できる不動産業者の協力

 実行方法は以下の取引をするだけです。
 取引①.売りたい所有物件を割安(例えば市場価格1,000万の物件を200万安く800万)で
  不動産業者(ここでは仮にA社)へ売却する。
 取引②.購入したい物件をA社から市場価格から割安(ここでは200万安く)で購入する。
 
 以下解説します。
  ①だけであれば誰でもできますし、節税というよりは単純に損をしているだけになります。しかし②を実行することにより①の損失を取り戻せるため、①が節税になるというロジックです。しかも①②の取引は、2件ともに市場価格より安く売買しているので、不動産取得税、仲介手数料、登記費用等も割安になる「おまけ付き」な訳で、物件の買い換えをする上でいろいろ美味しい取引となります。

しかーし、単純に見えていろいろ罠があるので②は簡単には実行できません。②で市場価格より安くで購入できるのは①の取引をしているからであり、A社と手を組んでいることを前提としています。
 この一連の取引はA社にとっても、三為で両手仲介売買し(①)、再度三為で両手仲介売買(②)できる2取引確定案件なのでメリットがあり、話を持ち込めば乗ってくれそうです。しかし、このサイトでずっと書いてきましたが、不動産業者を簡単に信用してはいけません。以下にその不動産業者リスクを書きます。

 ・不動産業者リスク
 ①の取引はすんなり出来ますが、②の取引のときにA社がそっぽを向いて取引しないと言い出したら、どうなるでしょう?あなたは大損ですし、A社はボロ儲けになります。減価償却が進んでいて、譲渡益が大きい物件であればあるほど、値引き額を大きくして節税したくなりますので、激安価格で①の取引をした後で、「②の取引をするなんて言ってましたっけ?」ととぼけられた日には辛すぎますよね。単に格安でA社に物件を売っただけになってしまうリスクがあります
 他にも、②の取引用にあなたに紹介する物件を全て本当の価格よりも高く見せておいて「今はいい物件が入らないんですよ~」といって、割高を掴ませるor購入を引き延ばしさせられるといったことをする可能性もあります。A社としては①での値引き相当額を本当にそのまま値引きする必要なんて無い訳で、あなたにどんな値段で売却するかは口からでまかせを言えば、ある程度調整できてしまう訳です。
 
 以上から分かる通り、完全に信用できる不動産業者がいないと出来ない、絵に描いた餅に近いスキームな訳です。逆に、家族ぐるみで数十年お付き合いしている業者さんがいる人や、本業で要職に就いていて不動産業者を裏切らせないくらいの権力を持っている人(議員、大地主とか?)であれば、利用出来る方法ではあります。もしかしたら、不動産会社に勤務している役員ではない方も利用できるかもしれません。(勤務先で取引をすると会社へ資金の流れが筒抜けな訳で、上司とかから待ったが掛かる可能性もありそうですが、なり振り構わなければ出来そうな気もしますw)

善意の第三者の不動産業者じゃないとどうなる?

 上記のスキームでネックなのは、「善意の第三者の不動産業者」 が必要な点です。例えば、自分が経営している法人(不動産会社)だとどうなるかというと、税務調査に引っかかります。

 顧問税理士に相談したところ、親族や自分と資本関係のある法人と物件の売買をすると市場価格から逸脱していないか、取引の内容や関連性を確実にチェックされるため、意図的に租税回避していると見なされ追加徴税される確率が高いとの見解でした。
 逆に第三者の業者であれば、市場価格の半額以下といった極端に乖離が大きい取引でなければ、税務署が指摘すること自体難しいため、スキームとしては有効だという見解でした。というのも
  ・①と②は取引としては物件も異なることから完全に独立しており、かつ両方とも第三者との取引
   のため、そもそも関連付けて見ることをしない。
  ・市場価格から2~3割引き程度であれば、通常あり得る範囲と見なされ指摘自体が難しい。
   (第三者と恣意的に実行していることを立証できない)
 といった理由から、自主的に進言しない限りは指摘を受けないだろうとのことでした。(あくまで一税理士の見解ですので、絶対大丈夫ということはありませんよ?)

資金繰りの注意点

 このスキームにはパートナーとなる「善意の第三者の不動産業者」以外に注意する点があります。それはあなたのキャッシュ(資金繰り)です。以下2点でキャッシュが苦しくなる可能性があります。通常、譲渡益が大きいケースというのは、減価償却による還付金でウハウハな状態でしょうから、キャッシュに問題は無いはずですが、別物件の購入に使い込んでいて余裕がないケースもあるかと思いますので。

 1.ローンの元金返済
 ローンを組んで買っていた物件を取引①で一時的に格安で売却する訳ですから、ローンの元金返済額を下回った場合は追金して抵当権を外さなければならないケースもあります。法定耐用年数超えの木造1棟を5年償却後に売却する場合などは、ローンがそこそこ残っているでしょうから貴重なキャッシュを消費してしまうことになります。
 
 2.融資額の減少
 取引②でフルローンが出れば問題ありませんが、割安で物件を購入していますので、金融機関によっては一律頭金2割~3割を求められるところもあるので、その場合融資額が減ってしまいます。そのため、本来であれば融資を受けられたのに割安で購入したために融資額減っていることから、結果としてキャッシュをその分割り当てて、購入していることになります。とはいえ、 不動産取得税、仲介手数料、登記費用が全部値引きされるので、融資額の減少はそこまで気にする必要はないかもしれません。



 今回はいつもよりも長めになってしまいましたが、皆様の知識欲を満たすことが出来たでしょうか?
実はこのスキーム、とある業者さんから持ちかけられて知りました。最初はスゲーと思ってたのですが、その業者が持ってくる物件が全て”ぼったくり”物件で、明らかに三為で私をカモりに来ていたので、全く取引しませんでした。(笑 この業者さんはこのスキームの取引②で結構鞘抜きして荒稼ぎしているみたいです。①②のセット取引で顧客を確実に掴んで離しませんし、商魂たくましい限りです。

 とはいえ、割高業者さんだろうといろいろな業者さんと会うことで勉強になることも多く、情報交換だけでも有意義なので、時間の無駄と切り捨てず、営業トークも軽く流して楽しめるようになれば成長できることも多いと思ったりしています。

あとこれは重要ですが、間違っても当スキームを「このサイトを読んで、意欲をかき立てられてやった」なんて言わないようにお願いします。。。

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