18.物件の管理3

物件の管理

 今回は賃貸募集をしているときに、物件の鍵をどうするか、物件閲覧対策として何をしたらいいか注意すべき点について解説したいと思います。

物件の鍵について

 賃貸募集をすると、入居を検討するためお客様が内覧しにくると思います。そのとき不動産業者が部屋を案内してくれますが、この案内時の鍵をどうするべきかを書きたいと思います。方法としては以下の3つが挙げられます。
 1.不動産業者に預けておき、都度対応してもらう。
 2.当該物件のポストボックスに入れておく。
 3.自分で所持しておき、都度対応する。

 結論からいいますと1が鉄板で、2は少しリスキーですがいい面もあるといった感じです。
一番多いパターンは1だと思いますし鍵の所在責任を明確に出来るため、安心です。しかし以下のデメリットもあります。
 ①鍵の管理を任せている業者の休業日は、内覧対応ができない。
 ②鍵の管理を任せて貰えなかった業者の士気が下がる。

 ①については文字通りそのままですが、大きい店舗であれば無休の業者もありますが、週1~2日休業する業者も多いため、その日に内覧希望者が出ると鍵の受け渡しが出来ず内覧できない状態となります。もし鍵を預ける場合は無休で営業時間の長い業者を選びましょう。私はこの理由で内覧者を何回か逃しました。特に遠方から内覧に来ている人の場合、物件の内覧に2日以上割けないため、内覧出来ない場合は似た条件の違う物件で決めてしまうことも十分にあり得ます。機会損失は少ないに越したことはありません。

 ②については、駅前の3~4社は当然お互いに競合しており、一般媒介の物件では条件は互角となります。ところが鍵を管理させて貰えると、その物件については他社の動向を把握することができます。物件を内覧するためには鍵が必要ですから、嫌でもライバルに連絡する必要があるわけです。もちろんその情報が手に入ったからと言って、特別有利というわけではありませんが、気持ちのいいものではありませんよね。また、ふらっと入ってきたお客さんが急に内覧したいとなったときも、鍵を管理している業者の対応者が出払っていたり、既に閉店していてすぐに対応できない可能性もあり、その場合お客さんを逃してしまうリスクもあります。そういった意味で、不動産業者としては鍵の管理を任せて欲しいと申し出てくることが多いですし、断ると士気が下がると思います。(とはいえ過去事例で言うと、鍵を管理していない業者さんに決めていただいたことも全然あります。)


 2のポストボックスに入れておくのが、なぜいいのかというと、上記のような2点の問題がなくなるからです。特定の不動産業者の営業時間や休日に関係なく内覧が可能になりますし、全ての業者に差を付けずに依頼できるからです。ポストボックスが施錠できない場合は、ホームセンターで4桁くらいの南京錠を調達して付けておき、業者が内覧を希望する場合、都度こちらへ電話するように伝えておき、都度不動産業者へ南京錠の番号を伝えるようにすればOKです。内覧完了時もこちらへ電話するようにしておくと、なお確実です。
 敢えて問題点を挙げるとすると、特定の業者へ預けて借用書を書かせている訳ではないので、紛失があったときに責任追及が面倒になるくらいだと思います。鍵の紛失が判明したら、その一つ前に閲覧している業者が持って帰っていることが分かりますし、最悪マンション入り口の監視カメラの内容を確認すれば、犯人をある程度確定できます。大手の看板を掲げている不動産業者であれば、基本的に問題ないと思いますが、心配な方は1の業者へ預ける方法が安全で確実かと思います。
(前の回で書いたように、業者が倒産して、鍵が回収できない等のリスクもないことはないのですが、それは稀なケースですし)

物件内覧の準備について

 物件を決めて貰うためには、内覧したときにいい印象を与える必要があります。私が募集を掛けるときは、部屋に以下の対応をしています。
 1.内覧者用のスリッパを用意して並べておく。
 2.玄関に芳香剤を設置しておく。
 3.靴べらを置いておく。
 4.物件アピール用のパンフレットを玄関においておく。
 5.トイレ以外のドアは開けておく。
 6.ブレーカーは入れておく。

 1~3は内覧に来た人への気遣いです。その方が気持ちがいいと思いますし、いい印象を与えることができるからです。
 4は、物件を見に来た人へ不動産業者がアピールし忘れたり、アピールポイントが漏れていた場合をカバーするためのもので、より成約率を高めることができます。
 5は、昼間に来たときに部屋が明るいからです。玄関に通されたときに薄暗いよりかは、窓から光が差し込んでいた方が、明るくていいと思いませんか。
 6は5同様にすぐに電気が付けられるようにという不動産業者さんへの配慮です。ブレーカーを切っていて省エネできる電気料金は知れています。それならば、部屋に入ってすぐに電気が付くことの方が重要です。電気火災等を気にされる方もいらっしゃるかと思いますが、空室でコンセントを使用している機器もない状態では起こりえません。それで発生するなら、その部屋に入る方は危険な部屋に入居することになりますから。

 以上が、空室物件で準備しておくこととなります。もっとした方がいいことを知っていらっしゃる方があれば、教えていただければと思います。

空室時の電気についての豆知識

 ここで一点豆知識を書きますと、空室時の電気代は電力会社が負担しているケースがほとんどです。というのも、前に住んでいる人が退去するとその日を以って電気の契約はなくなりますので、電力会社は前の住人には請求できません。また次の住人が電気の契約を申し込むとその日からしか電気の契約が成立しませんので、空室時に使用された電気代は誰にも請求できないということになり、電力会社が負担をしています
 なぜこうなっているかというと、解約や新規契約の都度、電気が通電しないように電力メーターの離線や結線の作業をしていると、工事費用が掛かってしまうからです。しかも、空室時の使用量は微々たるもので数十円から数百円レベルですので、どう見ても割に合いません。そのため、電力会社が暗黙の了解で使わせてくれているのです。(公にはされていませんが)
 しかし、最近スマートメーターが導入されている箇所では、電力メーター内での電源線の入り切りが遠隔操作で出来てしまうため、電気の解約→解約日に即停電となるエリアもあるそうです。こういう場合は、大家として電気の契約をしておきましょう。皆さんもご存じだと思いますが、電力自由化により低圧の電気契約についてもエリアの電力会社以外と契約することが出来ますので、基本料金が不要の会社を選んで契約すればいいのです。参考として以下に2社紹介しておきます。(※2022年5月4日、あしたでんきサービス終了&各社電気料金値上げにより加筆修正)
 1.ONEでんき
 2.LOOPでんき
沖縄県等の離島や一部のエリア以外であれば、上記の会社から購入することが出来ますし、1年縛り等もなくいつでも違約金なしで解約できます。私個人の家庭の電気は「あしたでんき」から購入していましたが、サービス終了に伴い1のONEでんきにする予定。
 関西エリアでは、スマートメーターが導入されていても、空室時に電気が付かないといったことにはなっていませんが、空室時に電気が点かなくなるエリアでは、退去者に電気の解約日を確認しておいて、自分で電気の契約をしておく必要があります。
 →関西エリアでもとうとう空室時に電気が点かなくなりました。そのため、数日以内に電気を供給して貰う必要が出てきたため、地元電力会社へ電話して臨時契約をしました。臨時と言っても、従量電灯Aと同じ料金のため、15kWh以下なら高くはありません。ただ、空室が長期化する場合、0kWhの月が続くと思いますので、上記新電力へ乗り換えておく方が基本料金がないので、節約にはなります。


 少し長くなりましたが、シリーズ最終回の物件管理、いかがでしたでしょうか。今後は節税や法人設立メリットなどについて、書いていく予定です。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. にゅーさん より:

    初めまして。

    あしたでんきは、新規受け付け終了しているみたいですね。最新の情報は、こちらで確認できます。以下のリンクを掲載していただければアップデートできると思います。

    最新の情報のリンク:https://selectra.jp/energy/news/switching/ashitadenki

    宜しくお願い致します。

    • miya より:

      にゅーさん、初めまして。

      このサイトで記念すべき初コメントです。
      ご指摘ありがとうございます。情報が古くなっていたので、一部加筆修正しました。

      あまり更新していませんが、引き続きよろしくお願いいたします。

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