印紙について

コラム

 今回は印紙についてです。私は税理士ではありませんが、ちょっとした豆知識を提供したいと思います。コーヒーブレイク時に読むくらいの気持ちで、サクッとどうぞ。

印紙税について

 不動産の売買を経験されていればもちろんのこと、会社員や自営業の方でも領収書に印紙を貼ることもあるため、ほとんどの方がご存じだと思います。
 どんな文書に課税されるかというと課税文書第1号~第20号に該当するかどうかです。国税庁のページでいうと印紙税額の一覧表(その1)印紙税額の一覧表(その2)になります。不動産売買で印紙が必要になるのは、不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、家賃&固都税精算の領収書といったところでしょうか。領収書だけは発行者が納税することが明確になっていますが、契約書は明確になっていません。基本的には契約を締結する2者は対等な関係ですので、契約書の印紙税は2者それぞれが半額負担が前提だと思うのですが、現実には力関係や必要度によって異なっており、一方が全額負担するケースが多いです。

 不動産売買契約書だけは不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置があり、印紙税が半額になります。不動産売買契約書の印紙については、大抵買主が全額負担するケースが多く、売主はPDFもしくはコピーだけ所有するケースが多いのではないでしょうか。中には売主に半額負担する形態で仲介して下さる不動産業者さんもいますが、1通だけ作成する場合は、売主は売った後に原本を所有しないため印紙税は不要という暗黙の了解があり、負担しないケースが多いと言えます。

 金銭消費貸借契約書については、もっと酷い扱いです。原本は金融機関側が所有するにもかかわらず、印紙は借りる側が全額負担します。全額どころか半額ですら負担してくれるケースは見たことがありません。私からすると原本を保有するのだからせめて半額負担してよと思ったりします。そんなこと言えば融資しませんと言われる上、今後の融資にも響くので絶対に言いませんが。。。必要経費だと思うことにしていますw

 家賃&固都税精算の領収書ですが、5万円を超える場合は印紙が必要なケースがあります。
国税庁のHPNo.7126 相殺した場合の領収書に記載されていますが、他の取引と相殺されることが多く、印紙が不要なケースも多いですが、支払う必要がある場合もあります。
 ①売主→買主の家賃収入 < 買主→売主の固都税&管理費修繕積立金 の場合
 この場合、買主→売主の金額が大きいため、買主→売主へは売買代金を超えた額となります。この売買代金を超えた額が5万円以上となった場合、相殺しても5万円以上を受け取っている訳ですから、相殺出来ていない取引があります。その相殺しても5万円以上となった固都税or精算管理費修繕積立金もしくは両方の領収書に印紙が必要となります。相殺によりめでたく5万円以下になった場合は、相殺した旨を明記すれば印紙税を免れます。

 ②売主→買主の家賃収入 > 買主→売主の固都税&管理費修繕積立金 の場合
 この場合、買主→売主への支払いは売買代金以下となるため、売主が発行する売買代金の領収書に相殺の旨を記載すれば、売買代金の領収書以外は全て印紙が不要となります。

 売主が住居として使用していた物件を空室で買取するのであれば事業取引でありませんので印紙が不要となりますが、投資用として所有していた物件だったのであれば事業取引となりますので、印紙は必要となります。
 中には領収書への印紙は不要だと勘違いしており、絶対に印紙を貼らないという売主も過去にはいましたが、この場合、買主側(私)に税務調査が入ったときに引っかかる可能性があります。領収書の印紙だけであれば200円ですので過怠税を取られても知れていますが、怖いのはそこではありません。「この人(売主)は印紙税をケチって払っていないんだな」→「きっと他にも脱税しているはず、調査してみよう」となる可能性があります。もちろん普段からきっちり納税していれば問題はないのですが、税務調査に入られること自体面倒ですし、何より経費算入を一部否認されたりする可能性もある訳で。。。痛くない腹を探られるのも嫌なので、こういう細かいところを普段からきちんと納税しておくことをオススメします。

印紙が必要ない5万円以上の領収書がある?

 実は5万円以上の領収書でも印紙が不要のものがあります。それはずばり、士業の方の領収書です。細かく言うと農業や漁業従事者が直売しているものを購入したときの領収書や医師が医療行為をしたときの領収書も該当するのですが、不動産に関連する範囲でいくと、税理士、司法書士の領収書となります。No.7125 営業に関しない受取書に記載されている通り、士業の行為は商行為に該当せず、その領収書も印紙は不要という扱いとされています。??でも医者や弁護士を初め、士業の方は年収が高いし儲けてるのでは?と思ってしまいますが、法的にはこのような扱いになっています。
 ところがですよ、個人事業主ではなく税理士法人や司法書士法人のような法人となると話は変わってきて、印紙が必要となります。会社以外で出資者に対する分配が禁止されていない法人組織の場合は商行為を行わない場合であっても、印紙税が課税されるということらしいです。
 登記を依頼した司法書士の領収書や確定申告を依頼した税理士の領収書、5万円以上の医療費(インプラント等)を払ったときの医師の領収書を確認して見て下さい。きっと印紙が貼られていないと思います。こういった日常の何気ないところにも疑問を持って調べていくと、知識が増えていくと思います。

印紙税を納税していないとばれる?

 不動産売買契約書の印紙は、物件価格にも因りますが5千円~数万円掛かり、結構な負担となります。現金購入した場合や融資する金融機関が売買契約書をチェックをしない場合などは、誰からも強制されないため、印紙を貼らなかったり、貼り忘れたりするケースもあるのではないでしょうか。最悪、税務調査に入られる直前に貼ればいいやと思っている方、いません?

 実はこれ、バレます。国立印刷局は印紙を発行する時期によって、微妙に印刷柄を変更しています。そのため、税務署員は各時期の印紙の印刷柄の見本集を持っており、貼付されている印紙がいつ頃発行されたか確認することが出来ます。実際にそこまで確認するのかどうかは分かりませんが、印紙の発行時期と契約書の日付が問題ないか確認される可能性は十分にあります。(印紙の発行時期の方が古くないとNGとなります。)
 古い印紙をずっと持っておいて、調査が来たら貼るという対策もあるかもしれませんが、それだったら貼って消印しておいた方が精神衛生上いいのではないでしょうか。
 


 今回は不動産投資とはちょっと違う路線の記事でしたが、いかがでしたか?たまにはこういうのも豆知識として共有したいと思っています。今回はこのあたりで。では~。

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