知っている人は知っていると思いますが、高所得な方は前まで書いてきた経費算入とは違った節税方法があるので、書きたいと思います。私はまだ未踏の域で使えないのですが。。。あと、社会保険料については、会社員の場合だと確定申告でマイナスを出しても減らないので、ここでは考慮していません。このブログのモットーは「初心者向け」なので、そこはご容赦をw
譲渡益税率<所得税+住民税のケース
今回の紹介する節税方法は、不動産譲渡益にかかる税率(5年以上、個人所有で約20%)よりも所得税+住民税の税率が高い場合に使える方法です。特に高所得者で所得税率が45%に達している方は、経費での節税とは桁違いな節税が可能となるので、是非実施することをオススメします。方法・仕組みは以下の通りです。
①木造、鉄骨の法定耐用年数を超過している物件を購入します。
そうすると建物部分を5年間で減価償却できます。(正確には6回の確定申告となりますが)
②毎年の確定申告で減価償却相当分を所得から差し引くことが出来ますので、
減価償却分*(所得税率+住民税10%)相当だけ納税額が減ります。
③5年分の減価償却が終わった後(6回目の1月1日を迎えた後)に売却します。
売却額によりますが、ここでは購入額と同額で売却出来たと仮定すると、
譲渡益は、建物の減価償却分となりますので、納税額は減価償却分*(約20%)となります。
上記から分かることは、所得税率が10%を超える状態であれば上記のケースでは減価償却による節税が可能となり、所得税率が高ければ高いほど、納税額が多ければ多いほど効果があります。とはいえ、以下の注意点を考慮すると所得税率が10%を少し超える程度の域では節税にならず、全く話になりません。
注意点1.物件購入、売却に掛かる各種手数料
物件購入には仲介手数料、登記手数料を含め物件価格の7%程度の初期費用が掛かる上、売却のときにも仲介手数料が掛かるため、売買で現金→不動産→現金の往復をするだけで単純に10%は減ってしまいます。減価償却分にこの仲介手数料は入れることが出来るとはいえ、損失には違いありません。しかもこの10%は土地+建物の総額に対してです。上記の譲渡益や減価償却分は全て建物部分を基準にした%ですので、この売買に掛かる手数料は、土地割合相当だけ%が上がりますので更に注意が必要です。物件に対する土地割合が低めの33%、建物が66%と仮定すると、ここの手数料は減価償却分に対して約15%となります。
注意点2.融資を受ける場合の金利と手数料
銀行から融資を受けると手数料や金利を複利で取られます。
注意点3.売却額
上記ケースは簡単に理解するために、売却額が購入額と同じと仮定しましたが、5年経過すると物件としては古くなるので、通常売却額は下がる可能性が高いです。そのため、減価償却分よりも譲渡益が少なくなることがケースとしては多いです。もちろん、5年分の家賃が入ってくるので、減価償却分<譲渡益+家賃収入となることがほとんどだと思います。しかし、ここでは減価償却を利用した節税について考察しているため、家賃収入は除外してシンプルに考えたいと思います。
上記の注意点を考慮すると、譲渡益課税率20%、不動産売買仲介手数料で15%となり、住民税10%固定であるため、所得税率が30%の域でなんとか黒字となる可能性があります。しかし、所得税率が30%の域でも節税目的だけで不動産売買するのは、リスクや手間を考えると割に合わないと思います。最低でも所得税率が40%の域でないと確実な節税とはならないと思います。しかも節税後に30%の域に脱落してしまう場合、その分効果が薄まりますので、所得税率40%の部分が数百万ないと美味しくありません。国税庁のNo.2260 所得税の税率を参照いただければ分かりますが、税率40%となる所得額(額面収入から控除や経費等を差し引いた後の金額)は1800万円以上の場合です。課税所得が2000万円以上あれば、この節税スキームは実態としてうまみがあると言えそうです。
どんな物件で節税すればいいのか?
上記の節税スキームを使うには、下記条件の物件がいいと思われます。
①物件価格に対して建物比率の高い物件
(同じ節税額に対して投資額はもちろん、仲介手数料や登録免許税が安く済むため効率がいい)
②購入時と売却時で価格差が少ないor売却時の方が高い物件
(減価償却分が税率差として多く還元されるので)
①土地が相対的に安い田舎の物件、もしくはタワーマンション等の高層マンションだと建物比率が高いと思います。②の売却時ー購入時の値下がり額が少ないとされるのは、一般的に田舎ではなく都心だと思われます。
この2つの観点から都心の高層マンションに投資すると値下がりが少なく、所得税率と譲渡益税率の差を利用した節税に適していると言えそうです。(あくまで一般論ですよ。)
課税所得2000万円じゃなくても活用可能?
上記で課税所得2000万円くらいないと使えそうにないと書きましたが、例外があります。不動産の仲介手数料は一般人だと必要ですが、自分が宅建業者として免許を持っている法人のオーナーであれば、仲介手数料なしで売買できます。(自分の法人で手数料を取らなければいいだけなので。)
そうなると話が大分変わってきて、現金→不動産→現金の往復が登記手数料と銀行の金利程度のロスで済むため、所得税率23%くらいでも鞘抜きして節税できる可能性があります。中小の不動産会社のオーナーさんであれば結構されているのではないでしょうか。
もし自分で宅建業者の法人オーナーをされているのであれば、検討されてはいかがでしょうか。
・・・というか、そういう方はここには来ていないと思われますが。
久しぶりの節税記事でしたが、いかがだったでしょうか。そんなに年収や所得がないよって方でも、将来稼ぐようになったときに頭の片隅にでも置いていただければ、役に立つのではないでしょうか。
もう一つ大きな節税ネタとして、アメリカの1031エクスチェンジを日本でやる方法もあるのですが、こういうところには書けませんので、次回の記事は節税ネタ以外になりそうです。では~。
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