不動産投資をするにあたり、物件を安く購入するというのは投資の成否を決める要素で、誰もがそう思っていると思います。ここではどうやったら安くで物件を購入できるか、私の経験から書いてみました。・・・それぞれタイトルが結論になっています。上から読まれることをオススメしますが、途中からでも分かるように記載しています。
1軒目から格安は買えない
こう書くと、「いやいや、ちゃんと探せば買えるよ。」と反論されそうですし、私としてもその可能性を完全に否定するつもりはありません。ただ、1軒も所有していない方が格安物件を購入できる確率はかなり低いと思っています。理由としては、①格安物件を見つける力、②購入資金を速やかに調達する力、③安い理由をきちんと見抜く力という3つの力が必要ですが、以下のような3つ壁があるから初心者には厳しいと思っています。
1.物件情報の壁・・・格安物件は購入希望者が殺到するため、基本的に表に出てきにくい
2.金銭の壁・・・1軒目を購入する場合、金融機関の審査に時間が掛かるor融資が下りにくい
3.知識の壁・・・手付金詐欺等を見抜いたり、私道や擁壁・借地権等の条件を正確に評価できない
それぞれ詳しく書いていきます。
1.物件情報の壁
基本的に物件の情報は、楽待などの検索サイトから得ることになると思いますが、安い物件はすぐになくなります。ましてや格安物件となると掲載される前に買い手が見つかるケースがほとんどで、検索サイトに出てこないのが実態です。
出てくるケースとしては、不動産業者が専門にしていないエリアの物件を預かった場合、専門にしていない種類の物件を預かった場合(戸建て専門の業者がワンルームを扱う場合等)が考えられます。私としては年に2~3軒くらいの頻度でしか見かけませんし、もし見つけたとしても、これを拾うのは以下に記載している2つの壁があるので至難の業だと思います。
つまり格安物件の情報自体が流れてこないため、これを手に入れる可能性はどうしても低くなってしまいます。とはいえ長期間に渡り毎日チェックを欠かさなければ、この壁はクリアできるため、努力次第でどうにかなるとは思います。また知り合いに不動産業者が居て、情報を流して貰えるような立場であればこの壁は特にないと言えます。
2.金銭の壁
キャッシュで購入する場合、ここの壁は完全に関係なくなります。しかし、1.不動産投資のメリットに書いたように融資を受けずに不動産に投資するのは勿体ないですし、融資を受けてこその不動産投資ですので、融資を受けて購入すべきだと思っています。
そこで融資を受ける場合に、未経験者が融資をして貰えるのかどうかです。ここの壁は完全に個人の属性次第にはなってしまいますが、一つ言えることは不動産で融資を受けたことがない場合は、審査に時間が掛かるケースが多いです。医者等の高収入で不動産業者が提携している金融機関に持ち込めば、早いですが、年収がそこまで高くない場合は金融機関としても慎重に成らざるを得ませんし、審査も時間が掛かると思います。最終的に審査に通る属性であったとしても、審査中に格安物件を横取りしようとする輩は沢山いますから、審査に時間が掛かっていると横取りされたというケースが多発します。そのため、この金銭の壁を超えるためには、めぼしい金融機関に事前相談しておくか、不動産業者の提携金融機関を使うしかありません。逆に言えば、事前相談しておくか提携金融機関を使えばクリア出来るとも言えるため、属性が問題ないのであれば準備さえしておけばクリア出来るとも言えます。とはいえ、現金買付者が現れるとほぼ確実に負けますので、最終的には格安物件は現金で買えという答えに行き着くのかもしれません。
ちなみに大企業に勤務していても融資が下りず門前払いされるケースは多々あります。私は一部上場企業勤務で、2013~2015年前後の融資が下りやすいとされていた時期にキャッシュで1000万以上持っていたにも関わらず、ワンルームの購入相談ですら5行以上から門前払いを食らいました。融資は自分の属性と合った金融機関に相談する必要があり、合っていないor不動産に出資する意欲がない金融機関にいくら足を運んでも意味がありません。不動産融資に積極的な金融機関を見つけ出すためには、業者や投資家仲間から情報を得るか、ひたすら新規開拓するしかありません。
3.知識の壁
まともな業者が出している区分マンション等であれば、ここの壁は高くないと言えます。しかし、不動産投資を行う上で一番の脅威になると言えるのが知識不足です。いきなり一棟物や土地から新築を目指す人がいますが、ハウスメーカーや不動産関係者でないのであれば私は全くオススメしません。というのも、相場より安い物件には必ず理由があり、それを見抜く必要があるからです。
格安だと思っていても、前面道路が細くセットバックが必須なケース、公道へ出るために他人の所有地を通行する必要があるケース、接道幅が2m未満のケース、容積率が既存不適格のケースなど挙げればキリが無いほど、問題のある物件は沢山あります。
更に一棟や戸建てでは、建物の状況(外壁のひび割れ、塗装、屋根の状態等)を適格に判断し、修繕計画を自分で立てられるくらいのスキルがないと建物の価値が判断出来ません。よく分からないまま、修繕費を精査せずに表面上の利回りだけを計算して、購入するのは非常にリスクが高く、失敗すると取り返しが付かないミスとなります。築数十年の鉄骨・木造一棟を高利回りだと思って運用していても、リスクを把握出来ていないと、いつか痛い目に遭います。
これら土地自体のリスク(私道・再建築不可・容積率・敷地境界等)、建物自体のリスク(擁壁・基礎腐食・違法建築・メンテナンス不足)をきちんと判断した上で投資できないなら、一棟や戸建ての運用は難しいでしょう。
悪意のある不動産業者は重要事項説明書には記載するでしょうが、契約時に口頭で分かりやすくリスクを伝えたり、念押し確認をしてくれたりしませんので、こういったリスク物件を格安だと思い込んで購入してしまうと、後々大変な損失になってしまいます。
区分だと少なくとも土地リスクは回避できます。建物についても相当杜撰な管理会社が管理をしていない限り、大きなリスクはないと言えます。だから不動産投資を初めてする方には区分がオススメなのです。私は建物リスクを正確に判断出来る知識がないため、現時点では区分のみに投資しています。一棟は規模が大きく、同じ売買の労力で大きな利益が得られますが、知識がないとリスクが高いのです。
格安物件で購入していいのは、遺産相続で速やかに精算したいケース、ローン返済が滞って差し押さえ直前or毎月持出返済になっていて売主が苦しいケースなど、売却期限が短いことが理由で安くなっている物件だけです。それ以外で安くなっているのは、安くなっているように見えるだけであり、本質としてそれだけの価値しかない物件なので、「安くはない」のです。
さらに本サイトの手付金を失わないためにはに記載しているように、不動産取引には地面師や手付金詐欺等のケースもありますので、物件自体のリスク以外に取引によるリスクも回避できる知識や経験が必要です。そういった意味でも、疑いの目を持って何事にも警戒することが初心者には求められると思います。私は小心者だったので、宅地建物取引士を取ってから投資を始めましたが、ある意味正解だったと思っています。投資家としては数年の投資機会損失となりますが、リスク回避という意味では宅地建物取引士を取得するのは非常に有効だと今でも思っています。
融資をすぐに引ける状態にしておく
上記で3つ壁があると記載しました。知識については勉強すれば解決するので、まずは勉強するとして、順番としては2番目に「金銭の壁」を解決しておく必要があります。「ない袖は振れない」ので、不動産投資に資金は絶対に必要になります。タイトルの通り、金融機関に事前相談しておき、物件を持ち込んだら1~2週間で審査を完了して貰えるようにしておくのが理想です。
定期的に金融機関へ確定申告書や決算報告書を提出しておくことで、良好な関係が築けますし、担当者からの印象も上がります。そして物件を持ち込んだときには、実際に審査をするのは物件だけで、あなた自身についてはほぼ審査済という状況を作っておく必要があります。この状態にしておけば、現金一括購入者以外のライバルには負けにくいでしょう。
業者に即決できる人だと認識して貰う
次に物件情報の壁を解決します。ずっと楽待ちや建美家で毎日探し続けることも大切ですが、情報を流してくれる不動産業者と懇意になり、メールを送って貰えるようになりましょう。一番大切なのは、不動産業者の担当者に、「金融機関のアテがあり、こちらが購入する気になればいつでもすぐに買える人である」と認識して貰うことです。さらに「物件紹介をしたら、すぐに回答を貰える人」という認識を持って貰うことで、格安物件を紹介して貰える確率が高まります。
不動産業者としては、格安物件は確実に売れる訳ですから、誰に売ってもいい訳です。では、どういう人に紹介するかというと、「物件の価値をきちんと判断でき、回答が早い人」かつ「すぐに審査が通る人」に紹介すると楽なので、そういった投資家達にダイレクトメールが発射されます。業者の立場を考えれば当たり前ですよね。
この点を踏まえると、不動産を1軒も所有していない人から格安物件の買付書を受けたとして、果たして不動産業者がこの初心者に売るでしょうか?もう1~2日待たせて、その間に違う買い手を探すと思われます。というのも、売買契約を締結するまでや金消の決済までに「やっぱりやーめた」なんてことを言い出すリスクを考えると取引実績のある投資家の方が手堅いし、融資の面でも間違いがないからです。一般のビジネスでしたらコンプライアンス違反の塊のような行為ですが、両手取引を可能にし、レインズを一般開放していない日本の不動産業界だからこそ、こういったことが起こります。
両手取引を業者から紹介してもらう
上記の「業者に即決できる人だと認識して貰う」の項目だけでは、格安物件は手に入りにくいです。
やはり格安物件の売主と直接繋がっている業者と両手取引で売買する状態でないと確実性が下がります。不動産業は手数料ビジネスですので、可能な限り両手取引をしたいのです。売買契約書と重要事項説明書を1セット作成して、支払い報酬が倍になるのですから最も効率がいい訳です。そのため、格安物件で片手取引になることを嫌がり、回避しようとします。
この点からも「仕入れが上手い」不動産業者と直接懇意になる必要があります。「仕入れが上手い」とはどんな業者でしょうか。今まででお世話になった中で言うと、行政書士、税理士と組んでいる業者さんでした。相続案件や借金返済相談などを取り扱っている士業事務所と連携しており、短期で処理する必要のある物件を仕入れることが出来る業者さんです。定期的にそういった案件で格安物件が発生しますので、最強ですよね。しかし、その業者さんも最近はその手の物件を扱えなくなったようで、今では私も別ルートで頑張って探しているのが実情です。他にも格安のケースはあるのですが、それはまた別の機会に。少し話しが逸れましたが、一番重要なのはタイトルの通り、「両手取引を業者から紹介してもらえるようになる」ことだと思っています。
今回の格安物件について記事はどうだったでしょうか。ここまで読まれた方の中には、「なんで不動産業者は格安物件を自分で買わないの?」といった疑問を持たれた方も多いと思います。次回はその当たりを書こうかと思っています。それではまた~!
コメント
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I am surprised that it was read by foreigners.
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