9.物件の選び方4(実際に見てみよう)

物件の選び方

物件を現地調査するチェックポイント

 前回までは机上での検討でした。しかし、購入するものは土地・建物という地球上で唯一無二のものですので、アマゾンで買い物するのとは違って注意点があります。今回はどこに注意すべきか書いていきたいと思います。

 チェックポイントは以下の6点です。
  ①駅からの徒歩時間、ルートは問題ないか
  ②周辺に忌避物はないか
  ③当該マンション・周辺マンションの空室率は問題ないか  
  ④当該エリア、当該物件の住人は問題なさそうか。
  ⑤周辺の飲食店、食料品店はターゲット物件と合致しているか
  ⑥近所の不動産業者の意見はどうか
ちょっと多いですが、どれも大切なポイントですので押さえておきたいところです。

それでは順に解説していきたいと思います。
①駅からの徒歩時間、ルートは問題ないか
 最近はグーグルマップがあるため、机上でも問題ないことも多いですが、駅からの距離・徒歩時間が業者の物件資料と合致しているか確認する必要があります。
 前提知識として、宅建業法では駅からの徒歩時間は、「距離」÷「80m」の切り上げとされています。また駅のどこからかというと改札口やホームからではなく、その物件から最も近い駅の入り口・敷地からの徒歩時間となります。つまり地下鉄であれば、入り口表示がある箇所からとなるため、入り口までは徒歩3分だけど、ホームまでは10分かかるなんてケースもありますが、その物件を駅徒歩3分と掲示して賃貸募集しても全く問題ありません。地上駅でも駅の看板が表示されている箇所が改札から遠く離れていたとしてもその箇所は駅に属していると考えられるため、その看板の場所からの徒歩時間でカウントして問題ありません。
 これらを踏まえた上で、実際に自分で駅から購入検討物件まで歩いてみましょう。ここで一点注意なのが、信号などの待ち時間は徒歩時間に含みません。グーグルマップで最短ルートを選択して徒歩時間をチェックした上で、実際に歩いてみて大差ないのであればOKです。(1,2分の誤差はあると思います。)
 ここで注意が必要なのは、私道や駐車場などの他人の土地を通っていないかです。私道や駐車場は他人の土地ですので、許可無く関係ない人が通行することは禁じられています。そのようなショートカットしたルートで徒歩時間を掲載すると問題があるので、公道のみを通って時間測定して下さい。
 物件によっては、複数路線利用できたり、同じ路線でも隣駅からも徒歩圏内であることも珍しくありません。せっかくの機会なので、周辺調査の意味を兼ねて帰りは異なる駅まで歩いて徒歩時間を測定しましょう。
 また可能であれば、昼と夜の2回行くことを推奨します。というのも街の様子というのは昼と夜で全く別物になるケースもあり、昼はのどかな雰囲気でも夜行くと街灯が全くなく真っ暗で、人気もないため怖かったということもあります。特に女性をターゲットにするのであれば、駅からのルートが夜も明るいかをチェックしておきましょう。
 実際の徒歩時間やグーグル上の距離と不動産業者の資料が異なる場合は、チェックしておきましょう。買付するときに効果を発揮します。(買付については次回です。)

②周辺に忌避物はないか
 忌避物は人によって異なりますが、一般的に傍にあると嫌な施設、設備です。一例ですが、風俗店、ゴミ処理場、暴力団関係者の事務所、廃墟、墓地などです。ある程度距離があればいいのですが、駅からの最短ルート上にこのような施設があると致命的で、賃借人を限定してしまうことになるため、相場よりも家賃が低くなりがちです。現地に到着したら、物件を見るついでに一筋ずれた通りも歩いて周辺調査をして下さい。大抵分かると思います。ポストなどに宗教関係のシールが沢山貼られている場合なども注意した方がいいでしょう。(一概にダメとは言えませんが、そういった住人がいることは間違いありません。)
 とはいえ、忌避物を考慮しても割安なのであれば購入するという選択肢も有りなので、そこは物件次第、投資家次第といったところです。ただ、こういったマイナスポイントは購入するときの指値に効果がありますので、上にも書きましたが是非メモしておきましょう。もちろん買わないという選択肢もあります。他にもいい物件は沢山ありますので、一回の調査が無駄になったからと言って、くよくよする必要はありません。リスクを回避できたと喜びましょう。

③当該マンション・周辺マンションの空室率は問題ないか
 マンションに着いたら、まずポストを見ましょう。チラシがポストからあふれている部屋が沢山あるなら要注意です。だらしない人が住んでいる可能性もありますが、ポストからチラシがあふれているのは、長期間その部屋が空室である可能性が高いので、そういった部屋が多いということは不人気マンションということです。本気で購入を考えているなら、原因・理由を突き止める必要があります。それが分からないのであれば、購入は見送った方が賢明です。
 周辺の同様のマンションも確認しましょう。ポストエリアには誰でも入れますので、チェックして同様にチラシだらけの部屋が多いのであれば、そのエリアではその種類の間取りの物件の需要がないと考えられます。間違いなく購入してはいけません。逆に周辺のマンションで95%以上入居しているのであれば、当該マンション自体or住人に問題があると考えられます。(安普請で電車の騒音がひどい、壁が薄く生活音がダダ漏れ、特定の住人の部屋がゴミ屋敷、暴力団関係者が住んでいる等)
 こういった物件はリスクが高いのでやめておいた方無難と言えるでしょう。少なくとも1軒目の投資対象としては不適ですので、初めての方は見送るのが賢明です。
 逆に一棟アパートとかであれば、掘り出し物の可能性もあります。空室が多い理由が大家さんの子供が相続したものの全く管理してなかったため、賃借人の不満が溜まり、退去して空室が多いといったパターンもありますので、一概にダメとも言えません。普通の人がやらない調査をしっかりすることにより、大きなリターンが得られるところも不動産投資の醍醐味です。

④当該エリア、当該物件の住人は問題なさそうか。
 この項目は③と共通するところもありますが、自分以外の視点でのチェックとなります。ズバリ、購入しようと思っているマンションの住人に住み心地や環境を聞いてみましょう。というのも、この物件がどういう物件かを一番知っているのはやはり、住んでいる人ですし、その人に聞くのが情報として一番間違いありません。
 ではどうやって聞くのか。私はいつも「今度この辺りに引っ越すことになって、賃貸でこのマンションを検討しているんですが、住み心地や環境はどうですか?」とストレートに聞いています。意外に丁寧に教えてくれる方がほとんどで、たまたまかもしれませんが、嫌な顔をされたり、無視されたりといったことは今までのところありません。土日の昼間に行って、駐輪場や入り口で10分も待っていれば、大抵1,2人は出入りするのでそのときを狙って聞きます。
 とはいえ、この聞き込みはシャイな方にはハードルが高いと思いますし、服装や人相によっては勘違いされることもあるため、できればベターくらいに考えていただければと思います。私は過去、大きな国道やJR東海道線沿いの物件を検討しているときに、騒音について確認したら、「3階に住んでいますが、防音仕様のガラスのため、全く気にならないですよ。」といった住人ならではの貴重な情報をゲットできたこともあります。気になる点を確認できることもあるため、可能であれば聞き込みしましょう。
 また同時に出入りする住人の服装や見た目などもチェックしておきましょう。これは後ほど述べますが、購入検討の要素の一つですので。

⑤周辺の飲食店、食料品店はターゲット物件と合致しているか
 物件を購入した後、賃借人はいつか退去します。30年以上住み続けてくれるパターンも0ではありませんが、大抵は退去すると思いますので、いつかは賃貸募集を掛ける必要があります。そのときのために周辺のお店について予め調査をしておきましょう。周囲に魅力的な商業施設が多いと、物件の価値が高いです。
 と、ここまでは普通の不動産投資本にも書かれている内容だと思います。私としてはもう一歩踏み込んで調査していただきたいのが、どのような種類の商業施設があるのかです。簡単に言うと独身者向けのお店が多いのか、ファミリー向けのお店が多いのか、といったことです。牛丼のチェーン店やコンビニが店舗を構えているであれば、そのエリアは独身者が多いと考えられます。逆にファミレスやベビー用品店などがあるなら、ファミリー層が多く住んでいると推測できます。これらのチェーン店は大企業が出店していますので、出店する際は綿密な調査を行っているでしょうし、店舗運営が継続できているということはその店舗がエリアの客層と合致していると言えるでしょう。ここで言いたいのは、自分か購入しようとしている物件の住人層と周辺店舗の種類が合致しているかどうかを確認し、合致してればOKですし、異なっていればNGです。

 ①~⑤をバラバラに調査すると効率が悪いので、事前に地図でチェックしておき、駅から歩きながら再確認すると効率的に調査できます。

⑥近所の不動産業者の意見はどうか
 このタイトルに違和感を感じたあなたは正しいと思います。不動産業者は信用するなと書いてきたのに「なぜ?」と思われるでしょう。直接取引する不動産業者の言葉は信用なりませんが、そうでない場合ならある程度は信用できます。以下、詳しく書いていきます。
 物件の調査がある程度完了したら、最寄り駅もしくはターミナル駅が近いのであればターミナル駅の駅前の大手賃貸不動産チェーン店(アパマン、エイブル、ピタットハウス賃貸住宅サービス、ミニミニ等)に入って情報収集しましょう。客観的視点を持つ意味でも最低3業者はまわりたいところです。具体的に欲しい情報は以下の3つです。
 1.購入物件の賃貸需要があるか。
 2.地域的な特徴・問題はないか。
 3.家賃相場はどれくらいか。

 購入予定の物件資料を持って、「この物件を購入しようと思っていて、もし購入して空室が発生したときは〇〇(不動産業者名)さんに客付けをお願いしたいと思っています。参考に教えて欲しいのですが、この辺りで△LDK(ワンルームやファミリーなどの間取り)は需要がありますか?」という感じで聞き込みすれば、嫌そうな顔をしないでしょう。賃貸不動産業者としても将来の大家とパイプができる可能性があるので、それなりに情報提供してくれます。賃貸不動産業者は、地元の大家とは長期でお付き合いする必要がありますし、いかに沢山の大家と繋がるかが生命線のため、借りる側の一見顧客とは扱いが異なります。
 1の賃貸需要が、そもそもあまりないという回答であれば、物件購入は止めておきましょう。
 過去に駅からバス20分の団地の物件が格安だったので購入しようと検討していましたが、賃貸不動産業者に確認したところ、マイホームを購入する人が圧倒的に多く、賃貸で住む人はほとんどいないとの回答だったので見送ったことがありました。今思い返しても結果として正解だったと思います。郊外の街にありがちなのが、人は住んでいて活気はあるけれども、物件価格自体が安いから購入できる人が多く、それゆえ賃貸に住む人がいないパターンです。この場合、家賃が相当安くないと賃借人が決まらないことが多く、家賃が安い=支払い能力が低い人しか住まないため、滞納リスクも上がりますので注意が必要です。

 2の地域的な特徴・問題についてですが、今でこそ出身地域による差別はほとんどありませんが、あそこは〇落だったから治安が悪い、といった差別が昔は残っていたと思います。この関係の名残で、特定の道路を一本隔てると廃墟やトタン屋根のボロ屋が多くなり、極端に公示価格や固定資産税が安い土地があります。このような土地は都心へのアクセスなどを考えればお買い得なこともありますが、もともと土地が周辺より安いため、本当に割安なのかは確認する必要があります。私道物件であったり、周辺に忌避物があることが多く、初めての投資先としてはハードルが高いため、私的にはそういう意味であまりお勧めはしません。こういうケースで割安なのは掘り出し物だからではなく、それなりの理由があって安いことが多いからです。
 また、こういうエリアの土地は台風や洪水が発生したときに、冠水するケースが多いです。というのも、なぜこの土地が忌み嫌われて差別されていたかを考えてみると、大抵農作物や家が被害に遭いやすいエリアだったからというのが典型的です。江戸時代に出来た制度ですから、治水工事がされている現代においては気にする必要がないことも多いですが、河川のすぐ傍であったり、窪地で真っ先に水が溜まるのような場所かどうかはハザードマップで調べておきましょう。火災保険で「水災」を付ける必要があるかを検討するときにも役立ちます。


 3の家賃相場の確認ですが、これは本当に文字通り確認だけです。事前に机上のチェックでホームズやSUMOで確認をしていますので、自分の認識と地場の賃貸不動産業者の感覚が合っているかを念のため確認しておきます。もちろん業者ごとにずれがありますし、時期によって変動しますので、大きく違わなければOKです。
 また家賃相場だけでなく、敷金や礼金が取れそうかどうかについても一言聞いておきましょう。敷金・礼金(特に礼金)が取れる地域は、需要>供給のため、客付けに苦労しにくいですし、何より入退去が発生したときのキャッシュフローが格段に良くなります。逆にマンションデベロッパーはそういう地域にマンションを新築しますので、マンションが増えると取れなくなる可能性も高くなります。数十年単位で事業を継続する場合は、リスクとして常に頭の片隅に置いておく必要があります。もちろん採算計算をするときは、礼金が取れる地域だとしてもあえて計算に入れない方がいいでしょう。


 ①~⑥までのチェックポイントを満たしていれば物件としては問題ないので、不動産業者へ買付書を提出して物件を押さえます。今回はここまでにしたいと思います。長編となりましたが、ここまで読んで下さってありがとうございました。次回は買付書、手付金支払い等の手続きについて書きたいと思います。

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