15.物件購入後の必要な手続きについて

物件の管理

今回は物件購入後に必要となってくる手続きについて書きたいと思います。物件購入時もそうですが、購入後も必要な書類がたくさんあり、初めての方は混乱すると思いますのでまとめてみました。主に以下の3種類の手続きをする必要があります。
 ・物件関係者へ手続き
 ・売主との手続き
 ・仲介不動産業者、司法書士、銀行との手続き

物件関係者に手続書類を送ろう

 金銭消費貸借契約を締結し売買契約の決済後、登記手続きが司法書士にて完了したら、基本的にその瞬間からあなたはその物件の所有者となります。そのため、その物件の関係者へ所有者が変更になったことを連絡する必要があります
どのような関係者にどのような書類を送る必要があるか、以下に示します。
 1.賃借人(所有者変更通知、口座振込先連絡)
 2.マンション管理組合(所有者変更手続書類)←マンションの場合のみ
 3.マンション管理会社(所有者変更手続書類)←マンションの場合のみ
 4.賃借人の保証会社or連帯保証人(所有者変更手続書類)
 5.管理を委託する不動産業者(管理委託契約書)←管理委託する場合のみ

 1の賃借人への「所有者変更通知と口座振込先連絡」については、所有者が変更になったことと家賃の振込先が変更になったことを伝える重要な書類です。家賃の振込先が変更となることから、宅建業法では「売主」からの連絡が必要と定められています。通常は売主が直接電話連絡することはなく、この「所有者変更通知と口座振込先連絡」に買主と連名で署名捺印して、賃借人へ簡易書留等で送付します。以下に様式例を載せておきます。

 売主の署名捺印が必要なため、仲介してくれた不動産業者がこの通知書を作成してくれると思いますが、送付は自分でしないといけない場合もあります。そのときは必ず書留等の受取形跡が残る送付方法で送りましょう。何かの手違いで通知書が賃借人へ届かず、家賃の振込が売主へ継続してしまうと、家賃回収に手間取ります。
 
 他のマンション管理組合、マンション管理会社への書類は、管理費、修繕積立金の支払いや登録関係の書類が必要となります。大抵は仲介してくれる不動産業者が取り寄せしてくれるとは思いますが、新米の担当だと忘れていることもあるので、そのときは自分から不動産業者へ伝えましょう。
 この手続きをしなくてもすぐには困りませんが、自分で専有部分の修繕を行うときの情報収集や住人間でトラブルが起こったときなど、何かとお世話になる必要がありますで必ず手続きしておきましょう。

 最後に忘れてはいけないのが、保証会社への変更通知です。賃借人が家賃を滞納した場合に保証してもらう必要がありますので、絶対に手続きしておきましょう。ここについては、売主から引き継いだ賃貸借契約書に記載されていると思います。通常、この保証会社への手続きまでやってくれる不動産業者はいないので、自分で様式等を取り寄せする必要があります。

以上が物件関係の手続きになります。

売主との必要書類が揃っているが確認しよう

 次は売主とやりとりが必要な書類についてです。不動産業者任せにしていると書類が不足しており、確定申告や決算報告時に困ることもあると思いますので、確実に押さえておきましょう。売主とやり取りが必要な書類は以下になります。
 1.現賃借人との賃貸契約書原本
 2.当該物件の鍵
 3.郵便受けの解除番号
 4.物件売買の領収書
 5.固都税の精算の領収書
 6.家賃精算の領収書(買主が作成して売主へ渡します)
 7.管理費修繕積立金の領収書(買主が作成して売主へ渡します)

 順に解説します。
1,2は言わなくても必要なことは分かって頂けると思います。特に忘れがちなのが「鍵」です。管理会社に管理を委託する場合でも、鍵は自分で1本は持っておきましょう。なぜかというと、自分の物件で火事が発生したときに、賃借人に連絡が付かず消防署から連絡が入り対応する場合や、賃借人が孤独死or自殺等したとき、警察から開室を要望されるといった場合に困るからです。鍵の解除は管理会社ではなく、物件の所有者に連絡が来るそうです。(大家繋がりでの又聞き情報なので実際は違う場合もあるかもしれませんが)
 少なくとも自分の物件なのに鍵を持っていないというのもおかしな話なので、管理会社へ鍵を預けると本数が足りない場合は、複製してでも持っておくことを推奨します。

次に3ですが、これはマストではありません。しかし、今の賃借人が退去して次の賃借人が決まったときに必ず聞かれますので、聞いておきましょう。最悪忘れた場合でも、マンション管理会社が知っているはずなので問題ありませんが、把握しておく方が良いでしょう。(今の賃借人が退去するときに聞くのもありです。)

4,5は確定申告や決算報告時に必要となります。仲介不動産業者が精算書を作ってくれますが、確定申告書の添付資料としては売主が署名捺印した領収書が望ましいと思われます。

6,7はこちらが作成する書類です。何も言われなかったら、作成しなくてもいいとは思いますが、仲介不動産業者から要望されると思いますので作成しましょう。

以上が売主との手続き書類となります。実際に直接売主から貰うというよりかは、仲介不動産業者を通じてやり取りするケースが大半だと思います。

売主以外とやりとりが必要な相手は?

上記の物件の関係者・売主以外にも、書類をもらっておくべき相手がいます。以下にその相手と貰うべき書類を記載します。
 1.仲介不動産業者(仲介手数料の領収書)
 2.司法書士(登記事項証明書、登記完了書、登記手数料の領収書)
 3.銀行(金銭消費貸借契約のコピー、至近の返済予定、ローン手数料の領収書)
 4.保険会社(火災保険の契約書)

上記を見れば分かると思いますが、物件売買で掛かる費用の大半が1~3の相手に支払う報酬となるため、確定申告のために領収書を貰っておきましょう。また言わずもがなですが、司法書士からは登記関係書類、銀行からは金銭消費貸借契約のコピーも忘れずに。
 ここでいきなり出てくるのが4の火災保険です。売買契約書締結のところで書きましたが、金銭消費貸借契約を締結して決済後、登記手続きをするとその日から買主に所有権が移転しますので、火災保険・地震保険を予め掛けておく必要があります。そのため、金銭消費貸借契約の契約日が確定した時点で保険会社へ保険の開始日を伝えておくことで、所有権移転日から保険を適用することができます。後日、保険証書が届くことを確認しましょう。

売主以外からの書類は以上となります。


 ここまで書いて思うのが、不動産売買って本当に必要な書類が多いですよね。チェック表なしに漏れなく、書類をチェック出来る人はなかなかいないのではないでしょうか?チェックするタイミングも各書類で微妙に異なっていたりするので、私はチェック表があっても漏れそうだったりしますw
 これが一棟や戸建てだと建物の検査済証とか測量結果とかが場合によっては追加される訳ですから、本当に大変ですよね。

 不動産売買に関するシリーズ記事としては、次回の「賃貸管理」が最終回の予定です。それ以降は、客付けのノウハウや仕組み、節税方法、法人設立のメリットなどを順に書いていこうと思っています。
 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。では~。

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